読書メモ「最強の未公開企業 ファーウェイ」

「最強の未公開企業 ファーウェイ」という本を読みました。非常に面白かった。

私は何度か書いていますが、アフィリエイトでもすぐに大きな利益が出る方法、利益率が高すぎる方法が感覚的にあまり好きではありません。まだ大した売上もないうちから、あまりに凝り固まったビジネス観を持つのもどうかと思いますが、この本の内容は今の自分にはかなり共感できました。

ファーウェイの戦略について

ファーウェイは1988年に創業された通信機器の販売事業者で、売上高は2014年12月期は5兆5507億円でずっと業界1位だったエリクソンを追い抜いており(ファーウェイ-2014AnnualReportエリクソン-2014AnnualReport)、従業員数は15万人以上、世界160カ国にオフィスのある未上場企業です。

以下、創業者、任さんの言葉など、気になった部分の引用。

「ファーウェイの成功の秘訣は、”鶏助戦略”を絶えず続けたことにある。欧米企業が見向きもしないような不毛な市場を、我々は地道に一歩ずつ開拓してきた。これがファーウェイの揺るぎない基盤になった。欧米の通信機器メーカーが危機に陥った原因は、利益率が高すぎたことだ。一方、我々は暴利を求めなかったからこそ生き延びた。」

 
戦略において短期的成果を求めるのは欧米企業の弱点である。モトローラ、ノキア、エリクソンなどがもし上場企業でなかったら、我々は永遠に太刀打ちできなかっただろう。」

 
「いつも上位を狙ったり、首位を無理やり奪おうなどと、博打の誘惑に駆られてはならない。ヒマラヤの山頂はとても寒く、そこで生き延びるのは難しいのだ。ファーウェイの最低限かつ最高の戦略は生き延びることである。」

 
出典:「最強の未公開企業 ファーウェイ」,東洋経済,30項

痺れますね。震えます。

当時の欧米企業は、利幅も厚くて代金回収のリスクも低い先進国、市場規模が急成長している新興国での受注獲得ばかりを優先して、その他の発展途上国の市場開拓は後回しにしていました。

その一方で、ファーウェイは、シベリアの北極圏やチベットの高地、アフリカの奥地、自然条件が過酷な場所を敢えて戦略的に開拓していきました。そのため世界の顧客の多くは、アフリカや東南アジアだそうです。

全然スケールは違いおこがましい話ですが、アフィリエイトでも考え方として似たところはある気がします。誰もが美味しいと知っている利益率の大きいジャンル、短期的に売上がドカンとたつ方法で華々しく一発当てにいくのか、敬遠されがちなジャンルに地道に参入障壁を築くのか。

どちらが良い悪いではないですが、「稼ぐこと、成り上がること、1番になること」ではなく、「ずっと生き延び続けること」を目的にするとまた戦略が変わってくる気がします。

弁護士ドットコムの例

そういえば、全然違う本ですが弁護士ドットコムをつくった元榮太一郎さんの本(「弁護士ドットコム 困っている人を救う僕たちの挑戦」)にも、以下のような記述がありました。

「もし、すぐに収益を生むことができるようなビジネスならば、それは誰が始めてもすぐに収益が生めるモデルなのです。短期的に立ち上げられるビジネスは、競合も同じようなことがすぐにできる。(略)
それとは反対に、ビジネスモデルに高いハードルがあれば、それを乗り越えられた企業だけが価値ある「競争優位性」を手にすることができる。ハードルを越えるためには、忍耐力が試されます。」

 
出典:「弁護士ドットコム 困っている人を救う僕たちの挑戦」,日経BP,81項、82項

こちらの方が同じWEB稼業だけあって、アフィリエイターでも納得しやすいところがあるかもしれませんね。

一つの分野に集中したい

アフィリエイトでも、色んな人が色んなジャンルで華々しい成果を上げていたり、どんどん新サイトを作っているのを見ると、誘惑にかられます。
私は自分に言い聞かせるように、「今は1サイトだけに集中する」と言い続けていますが、本当は他のサイトも作りたい、他のジャンルもやってみたい、という誘惑は常にあります。1サイトだけやってても飽きますしね。

そういった誘惑を正当化するのに都合のいい言葉が「リスク分散」です。でも私のようなちっぽけな個人弱小アフィリエイターが分散なんてはじめたら、まともに競争力のある媒体なんて何一つ作れないと思います。(もちろん1サイト1サイトに競争力がなくても、全体の戦略として競争力があれば良いのですが)。

ここでまた有難いファーウェイの言葉。

本書によると、ファーウェイは創業してから25年以上、ただひとつのこと「通信機器の製造」だけを一貫してやり続けたとのこと。他にも不動産事業への進出など、さまざまな誘惑はあったものの、結果として見ると通信機器だけをやり続けたそうです。

 

「ただひとつのことだけをやっていこう。ターゲットを絞りこみ、資源を十分に集中すれば、ファーウェイは必ず成功できるはずだ。」

 
出典:「最強の未公開企業 ファーウェイ」,東洋経済,36項

かつてはファーウェイも不動産投資への誘惑に駆られたことがあった。だが実際には、自社利用以外の不動産に投資したことは一度もない。それどころか、本業以外の投資をしたことがないのだ。ファーウェイは株式を上場しておらず、金融市場での財テクにも手を染めていない。こんな大企業は、中国ではファーウェイを除いてはほとんど例がない。

 
出典:「最強の未公開企業 ファーウェイ」,東洋経済,37項

 

いちいちカッコいいですね。

カッコよく描くための本なので当たり前ですが、でも全体を通して読んでいて思うことは、日本でカッコいいとされる企業の理念や、創業者の理念とは、やはり少し雰囲気が違います。全体的に泥臭さが見えます。

アフィリエイトは、日々作業をしていて、「これで良いのか?」「これであってるのか?」と迷うことは多いです。でも今のところは、自分のやり方を貫きたいですね。

 ・短期的な利益を求めない、焦らない
 ・利益率が高すぎるフィールドに手を出さない
 ・勝つことよりも生き延びることを考える
 ・まずは1つの分野にすべての時間と資源を投入する
 ・数年スパンで参入障壁、競争力を考える
 ・羨望や飽きから、色々なものに手を広げない